「しゅんらん」という戦艦はヤマト世界においてはPS2ゲーム版オリジナルの艦艇ですが、暗黒星団帝国戦の時期やその後を扱った動画や創作にはたいてい登場するように見受けられます。筆者も少々武装が過剰なような気はしますが、デザインは好みであるアンドロメダを引き継いでおりその性能の高さから「地球防衛軍の新たな象徴」としての役割を十分に果たせると考えています。

 しかし、実際に「しゅんらん」という艦が、筆者の創作内で設定された軍備の中で成立するかはまた別の問題です。軍備はそれ以前からの連続性と、同時期の他のそれとの関連性、そして現在と未来における必要性を考えることが大切と思って自分は設定を作っていますので、時間断層設定を用いなかった(仮に用いたとしても、暗黒星団帝国戦の前に既になくなっている)当方の創作では、果たして存在しうるか不透明です。実際、アンドロメダ級の同型艦および空母型すら、登場させるかどうか現段階で筆者は決めかねています(ただ恐らく、現在進展が止まっている「とある~2202」で登場する可能性はかなり低いと思います)。

 そこで今回は、自分の創作内における「しゅんらん」の必要性を、いろいろな可能性から考えてみようと思います。少なくとも好きな部類の艦ではありますので登場させて見せ場は作りたいものですが、無理にこの艦を出して自分なりのリアリティを損なっても……という気がしますので、とりあえず簡単に考察してみることにします。


建造計画はいつ頃に?

 ある意味、これが最大の謎です。登場する唯一の公式媒体であるゲーム版ですら説明がない以上、自分で考えて設定するしかありません。
 とはいえ、リメイク版ではガトランティス戦役終結から(題名から恐らく、旧作の「新たなる~」のリメイクとなるはずの)2205年まで2年の猶予があります。後述しますがアンドロメダとしゅんらんを比較して筆者が思うに「これはベースはともかく、同型艦とは言い難い」という意見がありますので「ガトランティス戦役中にアンドロメダ級の増勢計画があったが、戦役によって中断したため終戦後に改めて旗艦型戦艦の計画をスタートさせた」というあたりが無難でしょうか。それならアンドロメダ級のために準備された資材の転用(といっても割とたかが知れてそうです)や、アンドロメダをベースにしたと思われるデザインも説得力を持つと考えられます。


なぜ建造する必要があったのか?

 はっきり言ってしまうと、旧作2をベースにしている筆者の創作においては、土星会戦その他の連合艦隊の被害を考えると、アンドロメダよりさらに大型の旗艦型戦艦が必要だとは思えません。昔、筆者が作ったD級戦艦のバリエーションとして「旗艦型」というものを設定したのですが、この時期に残っていた地球防衛軍の艦隊の規模を想像してみた上で、この旗艦型D級戦艦やアンドロメダよりさらに大型の旗艦型戦艦が必要だという必然性は、今のところ筆者は思いつかずにいます。
 ただ、もしアンドロメダ以上の指揮能力を有する戦艦が必要だとしたら、それは無人艦隊を指揮統制するための大規模なコンピューターを搭載していると仮定すれば、あるいは成立するかもしれません。この時期のAI艦隊が未熟で精密な統制が必要だが、アンドロメダに搭載された機器でも賄いきれない。ならさらに大型の電子機器を搭載した超大型戦艦を建造し、有人、無人問わず多数の艦艇を一括統制できる指揮戦艦が必要になった、ということなら考えられなくもありません。それでも、もっと手ごろな戦艦を旗艦にして指揮系統を分散させたほうがリスクやコストから見ると手っ取り早いのでは?という疑問は禁じ得ないのですが……。
 他には、筆者の書いたアンドロメダ建造の経緯にもあった「政治に求められた戦艦」だった可能性もあります。アンドロメダが沈んでしまったので、それに代わる超戦艦をさらに大々的な規模で建造して市民へのアピールに使う、というのも一案ではあります。まあ、これもコスト無視もいいところな手段ですが、本編でも(筆者の私見ですが)この頃から軍備が歪になっていくように見える地球防衛軍、あるいはその上の連邦政府にはふさわしい計画である、という見方もできるのではと言う気はします。夢も希望もあったものではありませんが……。


アンドロメダとの相違

 一見すると共通するところが多そうなアンドロメダとしゅんらんですが、筆者としては同型艦はおろか、略同型艦として見るのも無理があるのでは?という気がします。船体ラインなどは引き継いでいても、武装その他があまりに違いすぎるのです。
 もし「しゅんらん」の主砲が三連装であれば「アンドロメダの未成艦から流用した」で簡単なのですが、あいにく大半が四連装砲塔です。いくら科学の進歩を考慮しても、アンドロメダと恐らく同じであろう51cm級の収束圧縮型衝撃砲(しかも実弾発射も前提になっている)を簡単に製造できるとは思えません。海軍趣味をお持ちの方ならわかっていただけると思うのですが、戦艦の設計において主砲とその砲塔は艦のほぼすべてのデザインを決めるほど重要な要素なのです。その主砲が違うというだけで、アンドロメダとしゅんらんの内部構造には相当な相違があると考えねばなりません。もちろん、先に述べた新型機器を、それこそハリネズミのように配置した武装の間隙を縫って搭載するというならなおさらです。

 つまり「しゅんらん」はアンドロメダをベースにこそしているが、その実情は「ほぼ新規設計の新型戦艦である」と筆者は思う次第です。この前提に立つと設計を一からやり直しということになるため、ガトランティス戦役終結直後から計画がスタートした場合、2205年に間に合うかは恐らくギリギリのタイムスケジュールであろうと想像します。


私家版「2205」以降への登場の余地は?

 色々書き連ねましたが、まだリメイク版新たなる旅立ちである「2205」の完成品を見ていない以上、何とも言えない部分が多いのは確かです。とりあえずまとめてみると、

・アンドロメダとは似て非なる艦なため、新規設計となる。かつ建造中止となったアンドロメダ級からはさほど機器を転用できない、名実ともに新造艦であろう
・ただし、時間断層がなくとも2年の猶予があれば建造することは不可能ではないだろう
・建造の必然性については、ガトランティス戦役終結後から2205年まで、他の地球防衛軍の軍備がどうなっているか考慮する必要がある。これは新作「2205」を待つ。また、旧作およびゲーム版も大いに参考とする

 このようなところでしょうか。最後にあまり先のことを述べるのも恐縮ですが、一応「今の考え」として一言書き添えておきます。

・なるべく登場させる努力はする

 人気のある艦ですし、何とかしたいところですね(笑)


・付記「アンドロメダの同型艦はいつ建造するか?」

 この文章を書き終わってから考えたのですが、当初、旧作2をベースにしている自創作ではアンドロメダの同型艦を出す予定がなかったのですが、しゅんらんを建造するとなると少し様相が変わってくると思います。
 もちろん、ガトランティス戦役時の戦時計画で建造に時間のかかる(しかも時間断層がない拙作で)アンドロメダ級の量産はないと考えますが、戦役が終わって2年の時間的猶予があり、同時に「しゅんらん」の計画が持ち上がったとすれば話が変わってきます。自分が考えたのは「しゅんらんと戦隊を組むためにアンドロメダ級を数隻建造するのではないか?」ということです。

 さすがに「しゅんらん」の同型艦を複数建造するとなると、その予算や手間は膨大でいささか現実味に欠けるような気がします。しかし、アンドロメダの同型艦あるいは空母型であれば、資材の転用がかのうだったり、手間暇や建造規模の(あくまで「しゅんらん」に比してですが)小ささから実現性はあると思われます。「アンドロメダ」が単艦で戦隊を構成することができなかったというのは恐らくガトランティス戦役で問題になったと思われますから、新しい総旗艦である「しゅんらん」と共に戦隊を構成するアンドロメダ級戦艦は作ってもよいと思います。

 まだ先の創作になるので何とも言えない部分ですが、例えばゲーム版のネメシスがそのポジションかな…とか、空母型もあるといいよね、とか考えると、通常型1隻と空母型1隻は最低建造して「しゅんらん」のバックアップとするのが現実的なような気がしています。これも前向きに考えていきたいところですね。